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内部施工

横浜市S様邸 内部施工1

ベスト・プランニングの衛藤です。

 

アメリカの利上げは幅を縮小していますが継続中です。

また、中国の景気もあまり芳しくないようで、材木新聞によると材木の輸入量は2/3 に縮小しているようです。

結果、木材の需要は急激に落ち込み、価格も下がり続けています。

外部環境の変化なので致し方ないといえばそれまでですが、暖かい家をなるべく多くの皆様に届けたい私たちとしては、こうした急激な変化はあまり好ましくないな、と感じております。

特に一度価格が大きく上がった結果価格を抑えようという動きが強く、人件費、建材費を抑えて質を下げるという流れが発生している感は否めません。

弊社では住宅の性能低下は極力抑えたうえで、代替建材、仕入価格調整で少しでも対性能コストパフォーマンスを上げていこうと考えております。

また、空調システムの改良を続け、安価で導入でき、電気代も抑えられることで結果として全体コストを下げる工夫も合わせて行って参ります。

現在分譲住宅で研究の結果を適用し、効果を確認しておりますで、今後ブログで発信していきたいと思います。

 

さて、今回も前回に引き続き、横浜市S様邸の内部施工についてレポートを行っていきたいと思います。

 

 

2021.1.19 撮影

上棟が終わるとまず最初に大工さんが行うことは「雨仕舞」です。

少しでも雨の影響を減らすべく、外周を囲う作業を行っていきます。

具体的には下地を作り防蟻処理を行ったうえで、外周の耐力面材を貼っていきます。

 

防蟻処理は天然素材由来の炭の防蟻材です。防蟻は外周に貼った耐力面材モイスと外周部の構造材に塗った墨、米ヒバの土台で何重にも行っているのが特徴です。

防蟻処理についてもっと気になる方はホウ酸処理の防蟻処理をお勧めしています。

2階から侵入するアメリカカンザイシロアリでなければまず防ぐことができます。

 

耐力面材は地震荷重(せん断荷重)を面で伝達する部材で、筋交いと同様の働きをしますが、面で伝達する分、耐荷重は大きいです。

構造計算では筋交いと耐力面材それぞれに壁倍率という強度率が設定されています。

弊社では基本的に筋交いでがっちり耐震等級3相当にして、更に外周に面材を貼って更に耐震強度を高めています。

 

 

次に大工さんは内部の造作を進めていきます。

窓を設置するための窓台や建具を取り付けるための下地材、石膏ボードを設置するための下地材など重要な下地材を設置していきます。

途中で窓を入れる作業を行います。

窓さえ入ってしまえば強い雨が入ってきても室内に浸水する恐れがなくなります。

S様邸では窓はAPW330(ペアガラス)とAPW430(トリプルガラス)の2種類を使い分けてご採用頂きました。

価格を比較しながら一つ一つの窓を決めて頂いたことを覚えております。

 

写真では既に窓が取りつけられ、その他の作業を行うためにリビングを作業場にしている様子が伺えます。

 

 

大工さんが下地造作工事をしている最中に、天井にはルーフスペーサーを取り付けていきます。

写真では天井に設定している白い布です。

このルーフスペーサーがあることで、吹付断熱を行った後に屋根と断熱材の間に隙間を作ることができ、この間を外気が流れることで野地板を健全に保つことができます。

野地板は透湿性が低いので、湿気に弱いという弱点があります。

外気に近い野地板を健康に保つための工夫として弊社ではこのように空気を流すことで湿気を外に出す工夫を行っています。

 

 

こちらは2階の造作の様子です。

4寸の柱を使用しているので、写真を撮ると一面木材の様に見えますね。

写真左側は斜線規制のため、母屋下がりになる部分です。

母屋下がりになる部分はこのように天井が斜めに落ちてくる部分が出来てしまいますが、土地を(容積率を)効率的に使うために致し方がないです。

このような法規上致し方ない部分をどのように有効に使用できるか、使用法を考えられるかはお施主さん、設計士さん双方にとって重要な問題です。

 

 

2021.1.25撮影

次はキッチン周りに1階の下地です。

キッチン周りは対面式の場合はカップボードが背面(外壁面)にとりつくことが多いので、こうしたカップボードを支えるための下地が沢山つきます。

斜めの筋交い、上下の柱、水平方向の下地材と整然と並んでいて美しいですね。

壁を塞いでしまうとこうした丁寧な施工が全部見えなくなってしまうのが残念です。

 

ダクトや水道配管も壁の中をうまく這いまわして配管がなされています。

外周部ついてはこの後発泡ウレタン断熱材が吹き付けられてしまいますので、全て埋もれてしまいます。

 

 

最後は屋根部分に登って撮影した様子を載せてみました。

屋根部分は一部勾配が厳しく、かなり危険性があったので追加で足場を設置ししました。

まだ屋根は貼られてはおらず、防水紙のみが施工されている状況です。

 

防水紙もいろいろで、一般的な建築ではアスファルトルーフィングというアスファルトを紙に塗り付けたものを設置します。

こちらは防水性は申し分ないのですが、揮発性もありあまり体に良くはないので(と言っても基準値以下ではあるのですが)弊社では使わない様にしています。

また透湿性も低いので野地板の水分を湿気として逃がせない弱点もあります。

アスファルト系は価格は安く施工性も良いですが、やはり透湿性の高いルーフィングの方が良い考えています。

 

 

以上でS様邸の内部施工1回目のレポート終えたいと思います。

次回は断熱施工と内部施工の2回目のレポートです。

当初お話ししていた様に、S様邸では残念ながら完成の写真データを失ってしまったため、次回が最終回となります。

次回もどうぞお楽しみに。