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建築現場レポート

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上棟

横浜市S様邸 上棟

ベスト・プランニングの衛藤です。

 

本日は横浜市S様邸の2回目、上棟のレポートを行っていきたいと思います。

上棟は2階建てでは朝から始まり1日で完了することがほとんどです。

S様邸では標準仕様の4寸の柱及び梁をご選択頂きました。

材積が大きく、家に占める木材が多い様子も感じて頂けたらと思います。

 

 

2021/1/8 撮影

早朝7時過ぎから大工さんと現場監督さん、レッカー屋さんが集合しました。

既に1階の材料は搬入されていて、まずは雑談を交えながらどのように進めるか認識合わせを行います。

S様邸では特に平面図で直交していない構造があったので、こちらの話題が中心となりました。

 

 

8時になると作業を開始です。

まずは梁を各所に配り、柱を土台に建てていきます。

柱には「ほぞ」という突起が加工されていて、土台側に加工されたほぞ穴という穴に差し込むことで設置が行われていきます。

柱を設置し終わったところで、梁を柱に載せていきます。

写真では重たい梁を移動させるためにクレーン車で吊っている様子が写っています。

 

 

柱を設置し終わった後は、まず胴差と呼ばれる外周の梁から設置を行っていきます。

このように外周部の横架材(水平部材)を設置することで、構造全体が安定します。

大工さんが作業するためにも、このように外周部から先に構造を固めていきます。

 

 

外周部の胴差の設置が終わったら、大きな梁を掛けていきます。

写真の梁はS様邸で最もせいの(高さの)ある梁だったと記憶しています。

梁のせいは一般手に荷重を受けている柱のスパンが長くなる程、大きくなる傾向にあります。

これは荷重を受ける支持点のスパンが長い程構造にかかるモーメントと荷重が大きくなるからです。

家づくりを行うときは広い空間が欲しくなりますが、構造の観点からは柱があるほうが有利にはなります。

 

 

梁の設置が終わったら、家のゆがみを直す「建て入れ」という作業を行います。

ほぞとほぞ穴で結合された木材たちは自由に動けるため、一見真っすぐに立っている様に見えても、真っすぐ立っているとは限りません。

そこでこの建て入れ作業が必要になるというわけです。

 

まず、「下げ振り」という器具で鉛直を確認します。

そしてどちら構造が傾いているか確認した後、「屋起こし」という器具で突っ張る事で直していきます。

一つ直すごとに仮筋交いという仮止めを行う木材で固定をしていきます。

写真では下げ振りで家の傾きを見る大工さんと、屋起こしで傾きを直している大工さんの様子が写っていますね。

このような作業を家の外周全部と内部の通りごとに行い、構造を真っすぐにしていきます。

 

 

1階で鉛直を見ていく一方、2階の梁部分では梁同士をつなぐための金物を設置していきます。

梁同士は柱と同様仕口という凹凸でつながっているため、まだ固定がなされていません。

そこで金属の部品でこれらを結合していくわけです。

木造軸組み構造では「羽子板ボルト」と呼ばれる金物が使用されます。

その他金物自体を構造に埋め込む工法もありますが、弊社では断面の欠損の多い通し柱と梁の結合部等でのみ使用しています。

 

 

金物の設置が完了した後は床板を設置し、その後は1階と同様に柱を立てていきます。

柱の設置が完了した後も同様に梁を掛けていきますが、2階の梁は1階の時と比べてせいが小さいことが多いです。

1階と比べて荷重が小さいという事と、部屋は小分けにされていることが多く、リビングのような広い空間を取らないことが多い事が理由です。

写真では比較的長い梁をクレーンで吊って、大工さんが設置を行っている様子が写っています。

 

 

1階同様に2階も組みあがったら、次は屋根を受けるための小屋組みを行っていきます。

小屋組みは柱と同じような機能を持つ小屋束と梁のような母屋という部材で組み上げていきますが、写真の様に場所によっては登り梁という梁を使用します。

上下荷重を受け持つ柱と曲げで面の上下荷重を伝える梁の両方の役割を1本の部材で担うため、写真の様にかなり大きな構造となります。

私個人的にはこの登り梁が好きで、いつも使用するわけではないので、使用時には必ず撮影することにしています。

 

 

その他の小屋組み部分は先ほど記載した小屋束と母屋で小屋組みを行い、鉛直をよく確認した後、雲筋交い(くもすじかい)という部材で固定をしてきます。

更に鎹(かすがい)という金物でそれぞれの部材を締結していきます。

小屋組みに丈夫な金物を使わなくても良いのは、屋根の荷重(重量と風圧)を受ける程度なので、1階と2階の梁・柱程強く締結する必要がないという事です。

最後に写真写っている水平部材の小さな窪みに垂木(たるき)という部材を設置し、野地板という屋根下地の合板を設置して作業は完了です。

野地板を設置したところで大工さんたちは撤収となり、屋根屋さんが防水紙を貼る作業を行います。

写真の様にすっかり日が落ちてきていますね。

 

 

以上で、横浜市S様邸の2回目のレポートを終えたいと思います。

次回は内部施工の1回目のレポートをお伝えしたいと思います。