ベスト・プランニングの衛藤です。
ウッドショックの影響はまだまだ残っており、9月時点の木材価格は2.5倍程度、プレカット価格全体に換算すると2倍弱と高止まりしています。
木材新聞10.8付けによれば、木材最大手の中国木材は過去最高益を記録し、売り上げは前期比1.6倍、利益は366%増とのことです。
私たち工務店やお客様がプレカット費用高騰に苦労している中、何かおかしなことが起きているような気がしてなりません。
価格高騰→消費量低下→在庫過多→価格減少となることは容易に想像つきますが、今後はどのようになっていくのでしょうか。
木材新聞によれば、東京湾沿いの倉庫には多くの木材が貯蓄されているとのことで(2022.9.21付け記事)、在庫過多→価格減少が進むことを期待しています。
一方で唯一急激な価格上昇を続けていた合板は、価格維持のための生産調整に入ったという事で、価格を下げる機運はあまり高まっていなさそうです。
少しでも多くの方に高性能な住宅を提供したいと考えておりますので、状況をこまめにウォッチして、少しでも価格に反映していきたいと思います。
さて、今回は前回に引き続き、M様邸内部施工の1回目をレポートしていきたいと思います。
※写真には施工状況を確認する設計士さんが写っています。
2020/11/20 撮影
上棟を行った後は、まず筋交いや間柱を入れ、外部に耐力面材という地震に耐える部材を貼っていきます。
その後1階の床を作っていきます。1階の床は弊社では根太工法で作り上げています。
根太工法は床に根太と呼ばれる下地を並べ、その上に床合板を敷き、その上にフローリングを施工していく方法です。
このようにすることで、密に支持点を設けることができます。1階は2階と異なり梁を多く設けず、大引という部材に根太を組み合わせることで、通気性のよい床下空間を作ることができます。
こちらは柱部分には防蟻処理を行いますが、弊社では自然素材由来の炭を材料とした防蟻材で処置を行っています。土台部分は米ヒバという非常に防蟻性の高い木材を使用しています。
※現在はウッドショックの影響で、入手性が悪く、採用が難しくなっております。
こちらは開口部(窓)周りの構造の様子を撮影しています。
開口部周りにはたすき掛けで筋交いが設置されています。
筋交いは主に地震によるせん断荷重を伝達する部材です。弊社の設計では十分に筋交いを入れることを考え、そのうえで耐力面材で家全体を囲いますので、自信に対して大きな耐力を発揮します。
2階は剛床工法を採用しています。
先ほどの根太工法と異なり、28mmの厚い合板を使用し、地震による捩じり荷重に耐え、外周部のせん断部材に適切に伝達できるようにしています。
今回は上下の階の音を低減するために、ユカテックという防音床を採用頂きました。
ユカテックは主に衝撃音を低減させることのできるALCパネルの床です。
写真の様に採用場合は、剛床の上にユカテックを置き、更にその上に床下地用の捨て貼りを行い、更にフローリングを設置していきます。
次は2階収納部分の様子です。こちらには広いウォークインクローゼットが計画されています。
クローゼット部分には後ほど棚を取り付けるために、広く下地が設けられています。
全面に下地を設ける場合は、このように合板としてしまうこともあります。
次は2階リビングの様子です。
2階リビングには材料が置かれ、壁面には沢山の筋交いが見えますね。
地震荷重が2階ではまだ大きい事も理由の一つですが、弊社の設計ではかなり安全側に強度余裕を取っているので、筋交いの本数も多いです。
既に電気配線も始まっています。上部の梁には電気配線が見えていますね。
外周部の電気配線やコンセントボックスは断熱材により埋まってしまいますので、先に配線をしなくてはなりません。
次は2階のお風呂の様子です。
2階のお風呂は架台に載せる形になりますので、先に架台が施工されていますね。
こうした下地も断熱材施工前にあらかた作られていきます。
次はベランダの様子です。
ベランダは上棟後真っ先に作られます。大工さんによって下地が作られた後、防水工事が行われました。
防水は弊社の標準仕様ではFRP防水で行われます。ガラス繊維に樹脂を含侵させ、硬化させる方法です。
樹脂と言えども耐久性は十分です。
ベランダの立ち上がりや急所となるベランダと外壁の取り合い部にもこうした防水が行われます。
こちらは3階に設置した上棟飾りです。
通常は上棟式時に小屋裏にこうした上棟飾りを設置するのですが、M様邸では陸屋根で小屋裏がないため、このように3階に上棟飾りを設置しました。
3階の構造はやはり少し間柱が少ない様に見えますね。
地震荷重は屋根の慣性力が主ですので、1階や2階と比べて荷重自身はずっと少ないです。
M様邸ではベランダはFRP防水でしたが、屋上屋根には更に耐水性の高い金属防水を採用頂いています。
こちらはその金属防水完了後の様子を撮影したものです。
すっかり陸屋根になってしまいましたが、更に表面に何か取りついている様子が分かります。
これらは太陽光設置のための架台です。この上に太陽光パネルが設置されます。
M様邸では4kWh(計16枚)の太陽光パネルを設置致しました。
こちらは金属屋根の排水です。陸屋根には勾配がつけられていますが、降った雨水はどこからか地上に落ちてゆかねばなりません。
屋根から外部に排水する場所がこの部分になります。
板金部品を外部から撮影してみた様子がこちらになります。後ほどが樋に接続されることになります。
2020.12.1 撮影
大工さんの構造躯体工事や電気工事が終わった後は、いよいよ断熱材を吹き付けます。
弊社で使用している断熱材はフォームライトSLという商品です。
断熱性と透湿性(※)のバランスを考えてこちらの商品を採用しています。
結露を起こさない程度に透湿性を確保できるように、透湿計算を行った結果で壁の建材構成を決定しています。
勿論そもそも透湿性を内壁側も外壁側も下げる(完全に防湿する)という考え方もありますが、弊社では永年完全に防湿することは難しいと考えています。
適切に壁内に侵入した湿気が外気に抜ける思想で、計算にて確認しつつ、透湿性を確保しています。
※現場発泡ウレタン吹き付け断熱材は基本的に透湿性が低いです。
本断熱材はその中で比較的透湿性が高いものになります。
こちらは2階の断熱材の様子です。
窓周りにも、コンセント周りにも壁いっぱいに断熱材が充填されている様子が分かると思います。
こちらは1階のお風呂周辺の断熱の様子です。
基礎の立ち上がり部と水平部に見えているのは固形の断熱材で、ここ部分は気密性を確保する必要がないので、この様に密度に対しての断熱性の高い材料を使用しています。
一方で壁部や基礎については気密性をしっかり確保できるように、吹付断熱材の施工をしっかり行っています。
最後にお示しするのは壁のコンセント周りの断熱材です。
ぎっしり吹き付けられている様子が見て取れます。
以上で、M様邸の内部施工1回目の様子と断熱施工後の様子のレポートを終えたいと思います。
次回は内部施工2回目の様子をお伝え致します。