ベスト・プランニングの衛藤です。
9月は8月に引き続き、多くのお客様にご来店頂き、大変ありがとうございました。
展示場に近い施工現場が、分譲が多くなってしまい、ヘーベルウォール100と仕様が若干異なっておりますが、是非ご見学にいらして頂けたらと思います。
さて、今回から横浜市M様邸の建築現場についてレポートしていきたいと思います。
M様邸は横浜市にお持ちのご実家を2世帯住宅として建て替え頂いた建築となります。
1階にはお母様・祖父母様の世帯、2、3階には子育てご夫婦様の世帯が生活される計画となりました。
それぞれに工夫の詰まった建築となっていますので、是非最後までご覧ください。
2020/10/1 撮影
今回も基礎の写真が少なく、表題には上棟としましたが、基礎の根切の写真と鎮め物の写真がありましたので、載せていきたいと思います。
まずは根切の写真から。
根切及び砕石は基礎を作るための作業です。
遣り方といって家を作るための位置出しを行い(写真では外周の木枠)、その内側の基礎がくる部分を掘り込み、砕石を敷きます。
基礎は地盤面より一部深い位置に来るので、その部分の土砂を出すという事ですね。
基礎部分の土砂を排出した後は砕石を敷き、転圧を行います。
根切及び砕石敷きの際には地鎮祭で神主さんから頂いた鎮め物を入れて埋めます。
その土地の神様が家を様々な災厄から守ってくれると良いですね。
2020/10/28 撮影
基礎は3週間ほどで完成し、土台敷き、防塵塗装(床下エアコン採用場合)、足場設置を行った後、いよいよ上棟となります。
上棟日は早朝から7人の大工さんが集まり、準備を始めます。
M様邸は建築規模が大きく、通常クレーンだけでは全部届かないので、クレーン車と荷揚げ屋さんの力を両方借りての作業です。
材料はあらかじめ材料屋さんと私で必要な場所に配っておきました。
まず最初に配られた柱を立てていきます。
柱はほぞとほぞ穴という凹凸に柱を差し込んで施工していきます。
このままでも一応自立はしますが、突っ立っているだけなのでまだ非常に不安定です。
柱をあらかた立て終わったら、外周の胴差と呼ばれる梁部材を組み立てていきます。
外周にぐるっと梁を設置することで、全体の構造が安定して大工さんも仕事がしやすくなります。
胴差の施工があらたかた終わったら、内部の梁を設置していきます。
内部の梁せい(梁高さ)も様々で、空間が大きく空いている1階の梁せいは受ける荷重が大きくなりますので、一般的に高くなる傾向にあります。
せいの高い梁は重量もかなりの物になりますので、クレーン車で吊り上げて所定位置まで運ぶ必要があります。
写真では梁を移動している様子を上部から撮影しています。
2階の梁を設置し終えたら、2階の金物を取り付け、1階のゆがみを直していきます。
柱はただ立っているだけですので、地面と鉛直とは限りません。
その柱の連続ですので、躯体の鉛直は正確ではなく、場所ごとに斜めになっているはずです。
そこで、一定方向、一定間隔で鉛直を「下げ振り」という器具で計測し、「屋起こし」という突っ張り棒で押すことでゆがみを直していきます。
正しく鉛直が出たら、仮筋交いという筋交いで固定していきます。
写真では大工さんが鉛直を確認しながら、屋起こしで直している様子を撮影しています。
写真中央部にある斜めの長い部材が仮筋交いです。
この仮筋交いは後ほど金物や筋交いで柱が固定されたら撤去されて、反りが少ない物は下地等に再利用されます。
こちらはその下げ振りの様子をアップにして撮影したものです。
大工さんも確認しますが、時々私も見せてもらっています。
こちらは1階天井の梁です。
真っすぐに伸びていたので撮影してみました。
梁材はアカマツやベイマツが主に使用されます。少し色が濃かったり赤みがかっているのがアカマツですので、これはアカマツでしょうか。
弊社では1階の床組みには根太構法を使用し、2階には剛床工法を使用しています。
2階に剛床工法を使用するのは、地震荷重による捩じり荷重を1階の外壁面によく伝えるためです。
更に一般的な合板よりぶ厚い床板(28mm)を使用することで、上記効果を高め、更に家の剛性向上に寄与させています。
2階は梁を細かい間隔で入っているので、厚い剛床とも相性がよく、頑丈な床となります。
こちらの写真は梁の金物が締め終わった後に床板を並べている様子です。
中央から並べはじめ、足場を確保してから外側に向かって並べているようです。
こうした方法はケースバイケースで、安全性や効率性を考慮してその場で相談して決めていきます。
合板と梁は多くの釘で締結されていきますので、並べる係と釘打ち係に役割分担して進めていきます。
その後2階の柱と梁の材料を上げ、1階と同様に2階の柱を立てていきます。
2階の柱を立て終わると、これもまた1階と同様に梁を設置していきます。
写真では2階の胴差を設置しています。それにしても非常に梁せいが大きいですね。
ほぞ穴とほぞがちゃんとかみ合う様に、慎重に降ろしている様子が伝わると思います。
次は2階の中央部の梁を掛けている様子が写っています。
一つの梁に5本もの柱がたかっています。
上下荷重(主に圧縮荷重)はこの柱で分担して伝達します。
間取りを検討する際に、柱が邪魔になることが良くありますが、簡単に取り払えないのはこのように柱が大きな荷重を分担していることが理由です。
大空間を得たい場合には梁や柱を巨大化させるか、そもそもこうした構造にせず、柱と梁が一体化(と考えらえる程度)の結合をもつラーメン構造としてあげる必要があります。
もちろん前者は限界がありますから、後者とすることになります。
家全体をラーメン構造とする必要がない場合は、特殊な門型フレームの構造を採用することで(費用は掛かりますが)広い空間が確保できます。
午前中の施工はこれでおしまいです。
お昼休憩をはさんだ後、2階梁の小梁と金物設置から続きが進められていきます。
外部から見るとだんだん家が出来上がってきた様子が分かります。
まだまだあと1階高くなります。
次は1階2階と同様に3階を組み上げました。
(かなり割愛してしまっていますが・・・)
3階になると地震荷重もだいぶ小さくなってきますし、空間の大きい場所も減っているので、梁せいも小さくなってきます。
M様邸の屋根は陸屋根です。
陸屋根は通常の屋根と異なり、屋根勾配の小さい水平に近い屋根ではありますが、実際には雨を流さなくてはなりませんので、若干の勾配はつけなくてなりません。
上棟時にはその下地を作っていきます。
写真では通常の小屋組みの小屋束に相当する束が外周分に建てられている様子が見て取れます。
屋根部分の組み上げは、大工さんのうち屋根部隊がコツコツと仕上げました。
結構時間がかかり、完成したのは日がかなり傾いたころでした。
先ほど申しました通り勾配をつける必要がありますので 、写真を見て頂くと梁が二重になっており、上方の梁に勾配がついている様子が分かります。
屋根部隊が屋根を作る一方で、下屋部隊が下屋の下地を作りました。
下地を作る前に、耐力面材を先に施工しなくてはなりません。
急いで耐力面材を貼り、その後下屋の構造を組み上げ、野地板の下地となる垂木を掛けてから、最後に野地板を貼っていきます。
写真は野地板を室内から出して渡しているところです。
下屋の野地板が貼り終わったところで上棟作業は終了です。
M様は上棟式を実施されましたので、その際の写真を載せます。
棟梁さんと一緒に四方固めという儀式を行い、お酒と塩、米をまいて清めています。
以上で横浜市M様邸の1回目のレポートを終えたいと思います。
3階建てで且つかなりのボリュームでしたから、1日フルでかかりましたね。
(実際には残作業があり次の日も継続して細かい部分を完成させました)
それでは次回は2回目の内部施工をお届け致します。