ベスト・プランニング(一級建築士事務所)

建築現場レポート

Report

  1. HOME
  2. 建築現場レポート
  3. 座間市S様邸 完成

完成

座間市S様邸 完成

ベスト・プランニングの衛藤です。

 

座間市S様邸は長らくかかってしまいましたが、いよいよ本日が最終回です。

内装の出来上がりは弊社でも計画時にあまり想像ができておりませんでした。

S様がお選びになった内装デザインが、あまり通常使用しないものが多かったことが理由です。

それだけに完成した後の雰囲気に皆(良い意味で)驚かされ、今では注文住宅なのでこのようなことをしても良いのですとお客様にご提案するお手本としても使用させて頂いております。

弊社の建築物は長らく持つように配慮をさせて頂いておりますが、この点考慮され無難な壁紙にした方がよいでしょうか、というご質問を頂くことも多いです。

ビニルクロス系壁紙は透湿抵抗が高く、使用には配慮が必要ですが、一方で貼替は比較的容易ですので、遊び心を入れて世界に一つだけとすることも良いのではないでしょうか。

(特に内装は誰にもご迷惑をお掛けしませんので)

 

それでは上記のような観点で最後のレポートをご覧頂けたらと思います。

 

 

2020/12/5 撮影

今回は玄関から順にご説明をしていきたいと思います。

まず玄関周りの様子をお届けいたします。

玄関ドアはInnobest(イノベスト)D50 の501型というデザインの窓をご採用頂きました。

私個人的にはこうしたガラス付きの玄関扉のデザインが好きですが、採光を取れるという事とガラス部と鉄装飾部の相性が良いことが理由です。

外壁部は「フラットパネル」と「ジーファスチェック」、玄関周りを「A-beat」のデザインを採用して外壁の塗分けを行っています。

ドアとA-beatの組み合わせで少し周囲と雰囲気を変えていることがポイントですね。

こうして玄関周りのデザインを変えたり、配色を変える手法は良く採用される手法です。

 

玄関ドアのランプもおしゃれでドアと合っていて、こうした工夫も意匠性を高める工夫の一つです。

 

 

次に玄関の様子です。玄関のサイズは大きくは取っていないですが、玄関框を斜めに取ったり、建具で仕切る等の工夫をすることで落ち着いた雰囲気としています。

建具は壁紙を貼ることのできる建具を多く選ばれていたと思います。

こちらも1面デザインをつけることで、アクセントとしていますね。

このように完全に内部と区切ることも一つの手法です。

弊社では空気の循環の観点からリビングと一続きとしてしまうこともお勧めしておりますが、このようにすることでプライバシー性が高まりますし、リビングに入ったときの広さや奥行を感じることができます。

 

 

次はリビングです。

リビング空間は2階にも憩いのスペースがありますので大きくは取らず、吹き抜けとリビング空間階段を絡めて広い空間を作っています。

正面の壁を凹んでいる部分については、水槽を置くスペース、空気の流れを玄関とやり取りする開口部を設けています。

 

 

こちらがその詳細部です。右側にもニッチが見えていると思います。

下方に見えている箱は水槽を置く台です。

木を基調としたものとするべく、現場監督が一生懸命製作致しました。

木材の木目が綺麗ですね。

 

 

次はキッチンです。キッチンはTOTOのクラッソをご選択いただきました。

クラッソはTOTOの最高クラスで、ミッテではつけることができないオプションをつけることができたり、面材の質が高かったりなど、機能、意匠共に性能が高いです。

キッチンの様子を写真に撮影しても、見栄えが良いですね!

 

 

キッチンの反対側は収納があります。

通常は壁を作って納めることになりますが、このように商品によっては一体型の収納で納めることができます。

やや高価になりますが、見栄えはぐっと良くなります。

 

 

次は洗面の様子です。脱衣・洗面もコンパクトながら機能的な作りになっています。

洗濯機置き場の上には作り付けの棚も見えますね。

 

 

脱衣室の隣にはウォークインクローゼットが併設されています。

洗濯機で乾燥したようなものはすぐにこちらにしまうことができますね。

クローゼットは比較的大きく取って頂いておりますので、収納も十分です。

左上には太陽光のコントローラーも見えます。

 

 

次は1階のトイレです。

壁紙が鮮やかですが、ヒマワリなど花の絵でしょうか。

便器の高さまで単色の壁紙とし、こうした花の鮮やかな壁紙を使うことでリビングや居室空間と異なる雰囲気を出すことができます。

 

 

階段はデザイン階段を使用し、階段踏板はお施主さんご自身によって塗装がされました。

工程上踏板がないと2階のアクセスが難しいので、お施主様と良くご相談の上特別に実施致しました。

階段手すりも同様にお施主様支給です。

金属製階段手摺は非常に高価ですが、お施主様手配して頂き、ご相談の上こちらで施工が可能であれば設置が可能です。

(状況によってはお断りすることもございますのでご了承下さい)

 

このようにS様自身で非常に工夫されて設置しましたので、費用はあまりかけず、素敵な雰囲気の階段とすることができました。

 

 

こちらが吹き抜けを下から見上げた様子です。広さは1.5坪強です。

階段と絡めることで、このような広い空間を確保できます。

天井も勾配天井としていますので、併せてより広く感じることができます。

 

 

階段を登りきると、くつろぎのスペースが作られました。こちらはご夫婦で過ごすスペースです。

母屋下がり部の空間を利用し、このスペースにソファーやテレビを設置する計画であったように記憶しています。

こちらから吹き抜け側は広い空間が広がり、視線が外部に抜けて風景が見えますので、くつろぎには最適なスペースになっています。

 

 

吹抜け部を改めて引いた写真でお示ししています。

吹抜け部には化粧梁が設けられています。内部施工でもお伝えしましたが、構造材に仕上げているものが化粧梁です。

今回内部足場を掛けた際に現場監督によってと自然素材で塗装が行われました。

自然素材系のオイルやステインを使うことで元の木目を利用でき、自然な風合いにすることができるメリットがあります。

写真左側は居室への入り口です。こちらは南国の葉の模様の壁紙です。

こちらも壁紙を貼ることのできる建具を利用し壁紙と同じにすることで、かなり入口が壁の模様と同化します。

一面大きく緑の葉の模様が出てくることでかなりのインパクトが想像されましたが、実際貼ってみると全く煩いデザインでなく、爽やかに調和しました。

 

 

次はこの吹き抜けの周囲にある廊下に設置した洗面のアヒルちゃんのご紹介です。

こちらはお客様がお選びいただいた洗面器具に、こちらもお探し頂いたアヒルの水栓を取り付けました。

このアヒルを触って手前に引き倒すと、口から水が出るという仕組みです。

ちょっとした遊び心でお選びいただいたようです。

 

 

こちらは2階のトイレです。

2階のトイレも廊下同様南国テイストの壁紙を採用頂きました。

床はクッションフロアであったように思います。

組み合わせもなかなか面白いのではないでしょうか。なんだか森の中にいるような気分です。

 

 

次は奥様の寝室です。

特徴的な点は壁紙の選択と、写真左上に設けられた開口部です。

壁紙は藍色を基調として、奥のスペースには朱色をベースに金の模様をデザインしたは壁紙となっています。

更には天井には黄色系の金色の壁紙としています。

朱色や藍色といった色遣いに相性の良い金色を使うことで、中国や琉球の伝統的な雰囲気となりました。

部屋外部の緑を強調した壁紙との対比が良いですね。

こちらのお部屋のフローリングは無垢ではありますが、塗装済みの無垢で、周りの壁紙に合わせたコーディネートとなっています。

 

 

最後はご主人様の寝室です。一部斜線規制の関係から母屋下がりとなっていますが、程よいサイズの窓と無垢の床を使用しています。

奥様の部屋とは正反対で白系色でまとめています。

どちらかというとこちらの雰囲気の方が弊社では一般的ですが、このように部屋ごとに様々に分けて頂くというのも、折角の注文住宅ですからとても良いと思います。

 

 

以上で、座間市S様邸のレポートを終えたいと思います。

 

S様邸の C値は C = 0.2㎠ / ㎡ でした。住宅の規模に対して、非常に高い気密性を確保することができています。

S様は非常に仲の良いご夫婦で、ご夫婦でよく相談されながら計画を進めて頂いたことを思い出します。

ご主人様自身もモノづくりに非常に興味深く取り組んでいらっしゃって、階段の塗装を行ったり、手すりを計画されたりと工夫の詰まった家となりました。

壁紙は非常に特徴的ですが、固定観念にとらわれずに、ご自身の生活を想像された素敵なお住まいになったと思います。

性能はなかなか目に見えない中で弊社を信じてお選び頂き、大変ありがとうございました。

 

温熱環境としては現在は夏場、冬場共に温熱環境としては温度ムラがなく、非常に快適な環境になっているとのことです。

一方で空気の対流が非常に良すぎるため、冬場の吹き抜け部の対流が気になるという問題も発生しています。

1棟1棟間取りは異なり、空気の流れ方は全て異なるので、本当に家づくりは難しいと感じています。

こちらは冬までに対策を施す予定で検討中ですが、今後ブログで実現象の検証と対策と結果について皆様に公表できたらと考えています。

 

それではこの辺でレポートを終えたいと思います。

今回は期間が空いてしまいましたが、最後までお読み頂き大変ありがとうございました。

 

次回は横浜市の3階建て2世帯住宅M様邸のレポートをお送りする予定です。