神奈川で快適をデザインする工務店、ベスト・プランニングの衛藤です。
11月に入り、朝晩はかなり冷え込むようになってきましたね。これから冬に向けて、弊社で採用している床下エアコンの暖房が活躍する季節となります。高気密・高断熱住宅では、エアコンの能力だけでなく、断熱性能や気密性能、そして暖かい空気をどのように室内へ送るかによって、実際の快適性が変わってきます。今回ご紹介するM様邸でも床下エアコンを採用しておりますので、完成した様子とともにご紹介したいと思います。
それでは完成した建物がどのようになったのか、写真を見ながらレポートしていきたいと思います。

2022.5.22 撮影
まずは1階の玄関部分です。
こちらは玄関から壁の片持ちの収納を見た写真になります。木目の建具と棚板を落ち着いた色合いでまとめており、壁の白色との組み合わせが綺麗ですね。玄関は住宅の中でも、靴や傘、外出時に使用する小物などが集まりやすい場所です。そのため、十分な収納を設けることはもちろん、何をどこに収納するかを考えて計画することが重要になります。また、写真の建具にはガラス部分が設けられており、閉めた状態でも向こう側の明るさを感じられるようになっています。こうした建具の選び方でも、玄関の印象はかなり変わってきます。

こちらはシューズクロークの内部です。
壁面いっぱいに棚板を設置しており、かなりの収納量を確保できていることが分かります。棚板は高さを調整できる構造となっていますので、靴の種類や収納する物に合わせて変更することが可能です。靴はスニーカーとブーツでは必要な高さが大きく異なりますから、固定棚よりも使い勝手が良い場合が多いですね。また、床は玄関と同じ土間タイル仕上げになっていますので、多少汚れた物でも室内に持ち込まずに収納できます。収納量を多く確保すると、ついつい物を詰め込みたくなってしまいますが、実際には取り出しやすさも大切です。棚の高さや奥行きなども、何を収納するかによって考えておく必要があります。

こちらはキッチン側から見たリビング・ダイニングです。
白い壁と濃い木目の床材の組み合わせが印象的ですね。室内建具も床材に近い色合いでまとめられており、落ち着いた雰囲気に仕上がっています。
壁紙には、前回ご紹介した日本エムテクスの「エッグウォールライト」を採用しています。卵の殻を再利用した壁紙で、調湿性などの機能を持っていることが特徴です。
一般的なビニールクロスとは異なる素材感がありますが、写真のようにシンプルな白い壁として仕上がるため、木目の強い床材ともよく合っていると思います。
また、キッチンからリビングまで視線が通るため、調理中にも室内の様子を確認しやすい間取りになっています。

こちらはキッチンを近くから見た写真です。
キッチン本体はタカラスタンダードのブラック系の扉と白いカウンターを組み合わせ、背面の濃色の壁面とともに、かなり引き締まった印象に仕上がっています。対面式のキッチンですが、コンロ側には壁を設け、シンク側はリビングに向かって開放した形としています。シンク側を開放することによって、作業をしながらリビングとのつながりも感じられるようになっています。また、キッチンの床には点検口が設けられていることも分かります。給排水などの設備は完成後に見えなくなる部分が多いため、将来的な点検やメンテナンスのことまで考えておくことが重要です。

こちらはキッチンに設けたパントリー(食品庫)です。
M様邸では、キッチンのカップボードとは別に、食品を保管するための収納スペースを設けています。パントリーには、お米や缶詰、乾物、飲料などの常温保存できる食品のほか、災害時に備えた非常食などを収納することができます。最近は防災意識の高まりもあり、非常食や飲料水を多めに備蓄されるご家庭も増えてきました。こうした食品は意外と場所を取りますので、あらかじめ収納スペースを確保しておくことが重要です。また、普段から食べる食品を少し多めに購入し、消費した分を補充していく「ローリングストック」という考え方もあります。パントリーを設けることで食品の在庫を把握しやすくなり、日常の買い物だけでなく、災害時への備えにも役立ちますね。

こちらはリビングを見た写真です。
1枚目の写真とは反対方向から撮影していますので、階段や収納との位置関係がよく分かりますね。窓は室内を明るくするために重要ですが、一方で冬場には住宅の中でも熱が逃げやすい部分となります。M様邸では樹脂窓を採用しており、壁の断熱材とともに窓の断熱性能についても配慮しています。また、階段の近くには収納を設けています。階段まわりは構造や段数によって利用できる空間が変わりますが、こうした部分を有効に活用することで、居室の広さを大きく減らさずに収納量を確保することができます。

こちらは弊社で多くご採用頂いているオプションの床下エアコンです。
床下エアコンは主に暖房に使用する空調機器です。写真のように床置きタイプのエアコンを床下空間とつながる位置に設置しています。一般的な壁掛けエアコンでは、暖められた空気を室内へ直接吹き出しますが、床下エアコンでは床下空間にも暖気を送り、床面や床ガラリなどを通じて室内を暖めていきます。暖かい空気は上昇する性質がありますので、床下から暖めることで足元の寒さを抑えやすいことが特徴です。床下エアコンは単純にエアコンを床下へ設置すればよいというものではありません。断熱・気密性能、床下の空気の通り道などを考えて計画する必要があります。特に、暖気が一部に偏ってしまうと、部屋によって温度差が生じることがありますので、空気の流れを確保することが大切です。

こちらは寝室です。
母屋下がりの屋根の形状に合わせて天井が斜めになっており、一般的な平天井とは少し違った雰囲気になっています。また、壁には上下に光が広がるブラケット照明を設置しています。天井のダウンライトとは違った柔らかい光となり、寝室らしい落ち着いた空間に仕上がっていますね。

こちらは2階の居室です。
こちらも床材の木目を活かした、明るい空間となっています。写真では2方向の壁面に窓が設けられていることが分かります。窓を複数の方向に設けることは採光や通風の面で有利になる場合がありますが、隣家との位置関係によっては視線や日射にも配慮する必要があります。また、室内の上部には壁掛けエアコンが設置されていますね。高断熱住宅では住宅全体の冷暖房負荷を抑えることができますが、実際の室温は日射や部屋の使い方、空気の流れによっても変わります。そのため、必要に応じて個室にも空調設備を設けることで、それぞれの部屋で温度を調整できるようにしています。最近は小屋裏エアコンのご採用も増えて参りましたが、どちらが良いかは間取りが出来てからよく検討していく必要がありますね。

こちらは2階の洗濯室です。
M様邸では2階に室内干しができるスペースを設けており、写真では物干し用のパイプが複数設置されていることが分かります。最近は花粉や黄砂、天候などの影響もあり、室内干しを希望されるお客様が増えている印象です。室内干しを計画する場合には、洗濯物を干す広さだけでなく、湿気をどのように排出するかについても考えておく必要があります。洗濯物から蒸発する水分は決して少なくありませんので、換気だけでは除湿が追いつかないこともあります。特に梅雨時や夏場は、必要に応じて除湿機を併用することを強くおすすめしています。部屋の湿度が高い状態が続くと、洗濯物が乾きにくくなるだけでなく、カビや結露の原因にもなりますので注意が必要です。

こちらは洗濯室の収納部分です。
壁面に大きな収納を設け、棚板やハンガーパイプを組み合わせています。ご覧のように、衣類を掛ける場所と棚に置く場所が分けられているため、収納する物に合わせて使い分けることができます。また、棚板の高さを変更できる構造になっていますので、将来的に収納する物が変わっても対応しやすくなっています。洗濯室の近くに衣類を収納できる場所があると、乾いた洗濯物を各部屋へ運ぶ手間を減らすことができます。間取りを考える際には、単純な部屋の広さだけでなく、洗う・干す・しまうという一連の家事をどのように行うかも重要です。日々の家事は毎日のことですから、こうした小さな動線の違いが、住んでからの使いやすさにつながってくると思います。

こちらは洗面室になります。白い洗面ボウルと濃い色の収納扉を組み合わせており、キッチンなどの設備と色合いを揃えています。
洗面室は洗顔や歯磨きだけでなく、身支度や手洗いなどさまざまな用途で使用する場所です。そのため、洗面台の大きさや収納量だけでなく、周囲の通路幅やコンセントの位置なども使いやすさに影響します。また、洗面室は水を使用する場所ですので、水はねへの配慮や清掃性も大切になります。写真のように窓があると日中の明るさを取り込むことができますが、湿気対策については窓の開閉だけに頼らず、換気設備によって計画的に行うことが重要です。

こちらは浴室です。
淡い色の壁面を採用し、全体として明るく清潔感のある仕上がりになっています。浴室には窓も設けられていますので、昼間は自然光を取り込むことができます。さて、浴室で気になることの一つは、やはり冬場の寒さではないでしょうか。高気密・高断熱住宅では、建物全体の断熱性能を高めることによって、浴室や脱衣室も冷えにくい環境をつくることができます。

こちらはトイレです。
トイレ本体とは別に手洗い器が設けられており、木目のカウンターや収納扉が印象的です。トイレは比較的小さな空間ですが、便器と手洗い器の配置、紙巻器の位置、扉の開き方などによって使い勝手が大きく変わってきます。また、写真では床材にも木目を採用しているため、住宅全体の内装と統一感のある仕上がりになっています。

最後に完成した外観です。
これまで基礎工事や上棟の際にもご紹介してきましたが、M様邸は敷地の形状に合わせて計画しているため、建物の形もかなり特徴的です。写真では建物に複数の凹凸があり、それぞれの部分に窓や屋根が納まっていることが分かります。こうした形状の建物は、単純な四角い建物と比べると外壁の入隅や出隅が増えるため、施工に手間がかかる部分も多くなります。特に、外壁の取り合いや屋根との接合部は雨水が入り込まないよう、下地の防水処理から丁寧に施工する必要があります。M様邸では弊社のヘーベルウォール工法を採用しており、ALC外壁で仕上げています。濃い色合いの外壁と木目の玄関ドアの組み合わせが、落ち着いた印象になっていますね。

以上で、M様邸の建築現場レポートを終えたいと思います。
最後にM様邸の気密測定の結果は、C値=0.2㎠/㎡でした。
M様は若くして土地探しから建築計画まで、強いこだわりをお持ち頂いて進めて下さいました。お仕事もかなり激しく頑張っていらしたので、その中で全てを決め切ったM様のご努力は並大抵のものでなかったと推定します。内観をご覧頂いた通り、建築規模は決して大きくはないのですが、計算しつくされた唯一無二の住宅となっていることが分かると思います。これぞ注文住宅、という建築計画を示してもらったような気がしています。私もついつい多くの写真でご説明をしてしまいました。これからも弊社の快適な住宅で幸せにお過ごし頂くことを願いまして、本レポートを終えたいと思います。
次回は町田市N様邸のレポートをご報告したいと思います。
今回も最後までご覧頂き大変ありがとうございました。
~よくあるご質問~
Q. 床下エアコンは、一般的な壁掛けエアコンと何が違うのでしょうか?
A. 一般的な壁掛けエアコンは、室内へ直接暖かい空気を吹き出して暖房を行います。一方、床下エアコンは床下空間にも暖気を送り、床面や床ガラリなどを通じて室内を暖める方式です。
床下から暖めることで足元の寒さを抑えやすいことが特徴ですが、適切に機能させるためには建物の断熱・気密性能に加え、基礎の形状や床下の空気の流れを考えた設計が必要になります。
間取りや建物の性能、空気の循環経路などに応じて、空調計画を検討する必要があります。
Q. 室内干しの部屋に換気設備があれば、除湿機を使わなくても大丈夫でしょうか?
A. 必ずしもそうではありません。
室内干しでは、洗濯物に含まれていた水分が室内の空気中へ放出されます。そのため、洗濯物の量や室内の温湿度によっては、換気設備だけでは十分に湿度を下げられないことがあります。特に梅雨時や夏場は外気の湿度も高くなるため、換気をしていても室内の湿度が下がりにくい場合があります。そのような場合には、除湿機を併用することをおすすめしています。また、エアコンの様に使える「カライエ」という商品も排水の手間がなくなるため、おすすめです。高気密・高断熱住宅であっても湿気が発生しなくなるわけではありませんので、室内干しを行う際には、適切な除湿を心掛けて頂きたいと思います。