神奈川で快適をデザインする工務店、ベスト・プランニングの衛藤です。
前回は横浜市M様邸の断熱材や換気ダクトなど、住宅の快適性に関わる施工をご紹介しました。
その後、内部では石膏ボードの施工が進み、壁や天井の形が出来上がってきました。ここから壁紙などの仕上げ材を施工すると、現場の雰囲気も一気に住宅らしくなっていきます。
さて、今回はM様邸の内部施工2として、主に壁紙の施工についてレポートしていきたいと思います。

2022.04.19 撮影
こちらは1階LDKの壁紙施工前の様子です。
ピンク色の石膏ボードが貼られ、その継ぎ目やビスを打った部分にパテが塗られています。弊社では、室内の石膏ボードに吉野石膏の「ハイクリンボード」を使用しています。一般的な石膏ボードの性能に加え、シックハウス症候群の原因物質の一つであるホルムアルデヒドを吸収・分解する機能を持った建材です。
さて、壁紙の施工ですが、石膏ボードは一枚一枚を並べて貼っていくため、どうしても継ぎ目やビスの部分に小さな凹凸が生じます。そのまま壁紙を貼ると、こうした段差が表面に現れてしまうため、パテを使って下地を平滑に整えていく必要があります。パテを乾燥させた後は表面を研磨し、必要に応じて再度パテを塗って仕上げていきます。一見すると地味な作業ですが、壁紙の仕上がりはこの下地処理の精度に大きく左右されますので、職人さんにとっても手間のかかる重要な工程です。

こちらは階段部分のパテ処理です。
LDKと同様に、壁や天井の石膏ボードの継ぎ目を丁寧に埋めていることが分かります。階段室は作業スペースが限られているうえ、高い位置や手の届きにくい部分もあるため、一般的な居室と比べると施工に手間がかかります。また、階段のように壁面が長く続く場所では、照明の当たり方によってわずかな下地の凹凸が影として目立つこともあります。
そのため、パテは継ぎ目だけに厚く盛るのではなく、周囲へ薄く広げて段差を目立たなくしていきます。
完成してしまえば何でもない壁ですが、こうした部分に職人さんの技術が表れますね。

こちらは2階居室の壁紙施工が完了したところです。
先ほどまでのピンク色の石膏ボードとは一変し、壁と天井が白く仕上がっています。壁紙が貼られると部屋全体が明るくなり、完成時の雰囲気がかなり分かるようになってきました。
さて、M様邸では壁紙に日本エムテクスの「エッグウォールライト」という製品を採用しています。エッグウォールは、食品工場などで発生する卵の殻を再利用した、ちょっと変わった壁紙です。卵の殻には非常に小さな穴が無数に開いており、こうした材料の性質を「多孔質」と呼びます。この構造を利用することで、室内の湿気を吸収・放出する調湿機能や、生活臭などを吸着する脱臭機能を持たせています。一般的なビニールクロスとは異なり、自然素材の持つ性質を利用して室内環境を整えるという考え方ですね。
ちなみに、製品名に付いている「ライト」ですが、通常のエッグウォールと比べて卵殻の粒子を細かくしたタイプになります。メーカーによれば、その粒子の大きさは通常品の約10分の1となっており、凹凸の少ない、漆喰壁のような滑らかな質感に仕上がるのが特徴です。調湿性能については通常品の方がやや高いという試験結果もありますが、エッグウォールライトでも卵殻による吸放湿性能を備えています。機能性と見た目のバランスを考えた製品といえそうです。ただし、こうした調湿壁紙を使用すれば換気や除湿が不要になるというわけではありません。あくまで室内の湿度変化を和らげる補助的な働きですが、毎日生活する空間ですので、壁紙にもこうした機能を持たせるという考え方を採用することも一つの考え方であると私は思います。

こちらは1階玄関付近の様子です。
玄関ドアや室内建具の取り付けが進み、かなり完成時の雰囲気に近づいてきました。玄関周辺は建具の開口部や壁の入隅・出隅が多く、壁紙を貼る際には細かな納まりが必要となります。特に建具枠との取り合いや壁の角は、壁紙の端部がきれいに納まっているかどうかで仕上がりの印象が変わってきます。写真のように濃い木目の建具と白い壁紙を組み合わせる場合は、境界部分がはっきりと見えるため、こうした細部の仕上がりも大切になります。

こちらは2階の収納部分です。
収納内部には棚板やハンガーパイプが設置され、衣類や小物を整理しやすいように区画が分けられています。
写真では背面に石膏ボードが見える部分もあり、まだ仕上げ途中であることが分かります。
収納内部は棚板や仕切り板があるため、広い壁面と違って壁紙を貼る際にも細かな作業が多くなります。
また、収納は使い始めてから棚の位置を変えたり、荷物の出し入れを繰り返したりする場所ですので、壁紙の仕上がりだけでなく、棚の納まりや日常的な使いやすさも重要です。
見た目はシンプルですが、こうした収納内部にも大工さんや内装職人さんの細かな仕事が詰まっています。

以上、今回は主に壁紙の施工についてご紹介しました。
壁紙の施工が進むと、建物は一気に完成へと近づいていきます。
今回ご紹介したパテ処理は、完成後にはほとんど見えなくなってしまう部分ですが、壁紙を美しく仕上げるためには欠かせない工程です。
また、M様邸では卵の殻を再利用したエッグウォールライトを採用するなど、内装材についても少し特徴のある住宅となっています。
断熱性能や気密性能によって快適な温熱環境をつくることはもちろんですが、室内を構成する材料にも目を向けることで、より心地よい住まいを目指しています。
今回のレポートはこれで終わります。
次回はいよいよ完成の様子をご紹介したいと思います。
~よくあるご質問~
Q. エッグウォールライトのお手入れは、一般的なビニールクロスと同じですか?
A. エッグウォールライトは表面に卵殻を使用しているため、一般的なビニールクロスとはお手入れ方法が異なります。普段は、はたきや掃除機などで表面のほこりを除去する程度で十分です。
汚れが付着した場合は早めの対処が必要ですが、強くこすると表面の卵殻が落ちるおそれがあるため注意が必要です。汚れが強くついてしまった場合は表面にタッチアップ材を塗って白くします。
Q. 壁紙の下地を丁寧に施工していても、完成後に継ぎ目や隙間が生じることはありますか?
A. はい、あります。木造住宅では、完成後も木材の乾燥収縮や温湿度の変化などによって建物に微小な動きが生じます。
その影響により、壁紙の継ぎ目や入隅などに隙間が現れる場合があります。下地のパテ処理は表面を平滑に仕上げるために重要ですが、こうした建物の動きを完全に防ぐものではありません。
ただし、隙間の原因はさまざまですので、目立つ場合には状態を確認して対応する必要があります。大抵はジョイントコーク等で埋めて対処します。