神奈川で快適をデザインする工務店、ベスト・プランニングの衛藤です。
前回は、横浜市M様邸の上棟の様子をご紹介しました。
柱や梁、屋根まで一気に組み上がった建物ですが、その後はサッシの取り付けや設備配管などを進めながら、建物内部の工事へと移っていきます。
今回はいつもと趣向を変え、主に断熱材の施工についてレポートしていきたいと思います。

2022.3.25 撮影
M様邸では、壁の断熱材として現場発泡のフォームライトSLを100mm厚で施工しています。吹付け断熱は、柱や間柱の間に液状の材料を吹き付け、その場で発泡させて隙間を埋めていく断熱方法です。筋交いや配線などがある部分にも追従して施工しやすく、複雑な形状の部分でも断熱層を連続させやすいという特徴があります。写真では断熱材の施工後、その室内側にタイベックスマートという可変透湿シートを施工しています。このシートは、室内側から壁の中へ水蒸気が入り込む量を調整する役割があります。一年中同じ性質の防湿シートではなく、周囲の湿度によって透湿性が変化することで、壁体内に湿気を溜め込みにくくするための材料です。高気密・高断熱住宅では、断熱材そのものの性能だけでなく、壁の中へ湿気を入れ過ぎないことと、入った湿気を外に排出させることの両方を考える必要があります。弊社の家は家を長持ちさせるために透湿性にこだわっていますが、透湿性・調湿性の高い耐力面材モイスを使うときは一層気を遣って施工を行います。

こちらは2階の施工中の様子です。現場中央には、この後使用する石膏ボードなどの材料をまとめて置き、ここをいわば施工の「基地」としながら内部工事を進めていきます。壁を見ると壁いっぱいに断熱材が吹かれ、天井には下地材も組まれ始めています。内部工事が始まると、断熱材、換気ダクト、電気配線、天井下地、石膏ボードなど、多くの工事が同じ場所で重なってきます。そのため、単に順番に施工するだけではなく、後から施工する設備や配線のスペースを考えながら下地を組んでいくことも重要になります。ここでは屋根の吹付けがしやすいように一部の天井下地を敢えてやらず、断熱材を実施してからやっていない下地を製作していきます。(写真では一列抜けているところが見えます)

こちらは2階の屋根が下がってくる部分の断熱施工です。M様邸では屋根にもフォームライトSLを使用し、260mmの厚さを確保しています。壁の100mmと比べるとかなり厚い断熱層となっていますが、屋根は夏の日射を直接受ける部分であるため、外壁以上に断熱性能を確保することが重要です。大工さんはこの吹き厚さを確保するため、ぴっちり天井の下地を組んでいますね。こうした母屋下がりや勾配天井の部分は、壁と屋根の断熱層が切り替わる場所でもあります。断熱材は単純に厚く施工すればよいというものではなく、建物をぐるりと包む断熱層が途中で途切れないことが大切です。特に屋根と外壁が取り合う部分は形状が複雑になるため、隙間ができないよう確認しながら施工していきます。

こちらは小屋部分を近くから見た写真です。小屋部分いっぱいに発泡断熱材が施工されていることが分かります。屋根断熱の場合、断熱材のさらに外側には屋根の通気層を確保します。M様邸では屋根通気材としてルーフスペーサーを使用する仕様としており、軒先側から取り入れた空気を屋根面に沿って流し、棟側へ排出できるよう計画しています。これは断熱材の外側に入り込んだ湿気を排出するとともに、夏場に高温になる屋根面の熱を逃がすためにも重要な部分です。完成してしまうと全く見えなくなる場所ですが、断熱・防湿・通気を一体で考えることが、屋根内部を健全な状態に保つためには大切です。屋根をいかに腐らせないかは、住宅の寿命にとって非常に大事なことです。

こちらは2階居室の断熱施工後の様子です。外壁面にはフォームライトSL、屋根面にはより厚く断熱材が施工され、建物の外周を連続して包んでいることが分かります。また、天井部分には白いダクトが何本も通っています。M様邸では第一種熱交換換気システムを採用しており、各室へ給気・排気を行うためのダクトを天井裏に配管しています。こうしたダクトは天井を仕上げてしまえば見えなくなりますが、なるべく無理な曲げやつぶれが生じないように配管することも重要です。ダクトの曲がりが多かったり断面が狭くなったりすると空気抵抗が増え、計画した換気量にも影響するためです。高気密住宅では、自然に入ってくる隙間風に換気を任せるのではなく、必要な場所へ必要な量の空気を計画的に動かすことが重要になります。今回の写真では断熱材そのものが目立ちますが、その周囲には防湿、屋根通気、換気ダクトなど、快適な室内環境をつくるためのさまざまな工夫が隠れています。家が完成するとほとんど見えなくなってしまう部分だからこそ、こうした施工中の状態を確認できることも建築現場レポートの面白いところですね。

今回のレポートはこれで終わります。
次回も引き続き、内部施工の様子(壁紙施工の様子)をお届けしたいと思います。