神奈川で快適をデザインする工務店、ベスト・プランニングの衛藤です。
明けましておめでとうございます。
今回は、木造住宅の「上棟」の様子をレポートしていきます。
土台の上に柱・梁が立ち上がり、一日で家の骨組みが一気に組み上がっていく、とてもダイナミックな工程です。構造性能を左右する大事なタイミングでもありますので、そのあたりのポイントも交えながらご紹介します。

2021.11.6 撮影
まずは1階の柱を建て込み、外周部の胴差(どうざし)を掛けているところです。
柱はあらかじめプレカット工場で番付が振られており、図面通りの位置に一本ずつ建てていきます。建てた柱同士を胴差でつなぐことで、1階の「枠組み」ができ、水平力に対してもしっかり踏ん張れるようになります。
H様邸は敷地にゆとりがあり、前面道路も広かったため、材料の仮置きスペースや職人の動線を余裕をもって確保できました。結果として、安全性を高めつつ、テンポよく作業を進めることができています。

胴差が組み上がると、続いて1階の梁を掛けていきます。
写真では、大工さんが指示してクレーンで梁を持ち上げ、柱頭の仕口に落とし込んでいるところです。梁には、上から2階の床や壁の荷重が集中しますので、スパン(柱と柱の距離)に応じて断面寸法を変えたり、必要な位置に補強梁を入れたりと、構造計算に基づいた計画がされています。
梁の端部には、金物取付用の穴が加工されていて、羽子板ボルトでしっかり緊結することで、それぞれの梁の結合を強くしています。

柱・梁がある程度組み上がると、「建て入れ(たていれ)」の作業に入ります。
大工さんが柱の垂直を確認し、仮筋かいで固定している様子がこの写真です。
建て入れでは、下げ振りを使いながら、柱一本ずつの傾きをチェックし、数ミリ単位で調整していきます。ここで骨組みをきちんと「まっすぐ」にしておくことで、後の耐力壁の効き方や、仕上げの精度(壁の通り・建具の建て付け)にも良い影響が出てきます。

1階部分の骨組みが決まると、2階の床を支える梁の上に構造用合板を張っていきます。
合板を面材として使用する「剛床工法」により、床面全体が一体となって水平力を負担するようになり、耐震性能の向上につながります。
現場では、合板の継ぎ目が梁の上でしっかりと受けられているか、釘が四辺しっかり打たれているか確認しながら施工を進めます。床合板がきれいに張られると、その上が作業の足場にもなり、以降の2階の建て方がぐっとやりやすくなります。

2階の床ができたら、今度はその上に2階の柱を建てていきます。
写真のように、1階と同様、番付通りに柱を配置しながら、通り芯を確認して建て込みます。2階柱は、屋根からの荷重を1階・基礎へと伝える役割を担っているため、上下階で柱位置を揃える「通り良く納める」設計がとても重要です。どうしても通りをそろえられない場合も多々ありますが。

2階柱の上に、2階梁や小屋梁を掛けていきます。
写真では、梁を掛けたあと、大工が木槌で仕口をたたき込み、きちんと納まっているか確認しているところです。
必要に応じて火打ち梁などの補強材も入れながら、2階の骨組みを固めていきます。

続いて、屋根の最上部にあたる「母屋(もや)」を組んでいきます。
母屋は、垂木(たるき)を受ける梁であり、屋根の形状・勾配を決める骨格となる部材です。写真のように、建物の長手方向に母屋を通し、必要な位置で小屋束(こやづか)と呼ばれる短い柱で支えています。小屋束と母屋は鎹(かすがい)という金物で締結していきます。

母屋ができあがると、その上に垂木を一定のピッチで並べていきます。
垂木は、屋根面の荷重(屋根材の重さや雪、風など)を母屋・梁へと伝える重要な部材です。写真のように等間隔で美しく並ぶことで、耐力的にも、仕上がりのラインとしてもきれいな屋根になります。
大工さんは軒先のラインがきちっとそろう様に、丁寧に釘で締結していき、最も低い部分には専用の金物を使用して屋根があおられない様に強度を高めます。

最後に、垂木の上に野地板(のじいた)となる構造用合板を全面に張っていきます。
合板を面として張ることで、屋根全体の水平剛性が大きく向上し、地震や強風時に屋根面が「一枚の板」のように働いてくれます。写真では、夕方近くまで作業が続き、屋根の輪郭がほぼ完成している様子が分かります。
野地板まで仕上がると、上棟としての骨組みがひととおり完了し、このあと屋根防水(ルーフィング)や外壁下地、サッシの取り付けへと工程が進んでいきます。ここから先は、断熱・気密・耐久性を高めるための「仕上げに向けた下地づくり」の段階に入っていきます。

上棟は、家の骨組みが一気に立ち上がる、お施主様にとっても印象深い一日になったと思います。構造的な裏側の工夫も含めて、現場の雰囲気が少しでも伝わればうれしいです。
それでは今回のレポートはこれで終わります。