神奈川で快適をデザインする工務店、ベスト・プランニングの衛藤です。
今回はいよいよH様邸最終回の完成の様子をお伝え致します。
木の質感をしっかり感じられる素材選びに加え、空間の“抜け”と“つながり”を丁寧に設計した、非常に印象的なお住まいになりました。

2022.03.04 撮影
玄関に入ってまず目に入るのが、手洗いカウンターのあるホールです。コロナ禍以降「玄関で手を洗える動線」は一気に定番になりました。カウンター下をしっかり収納にして日用品の居場所も確保しています。玄関には明り取り用の窓も設置されていますね。

可動棚のシューズクロークは、見た目以上に「暮らしの変化に強い」スペースです。棚板が細かく調整できるので、靴だけでなくヘルメットや防災用品、アウトドア小物まできれいに収まります。湿気がこもりやすい場所でもあるため、換気(空気の入口・出口)を意識して計画しておくと、匂い・カビ対策としても効果的です。

床下エアコンの計画は、この家の“性能設計”の見どころのひとつです。床下エアコンは「高気密・高断熱」を前提に、床下空間を室内側として扱い、家全体を穏やかに暖める考え方になります。さらに今回は、床下エアコンの上部を“無駄なスペースにしない”よう、カウンターの上に収納を設置しています。

キッチンは、作業性と家族のつながりを両立したレイアウトです。手元が見えにくい立ち上がり(腰壁)を設けつつ、カウンター越しに会話ができる高さ関係が良いですね。ペンダント照明の配置も、ダイニングを“居場所”としてつくる重要な家の要素です。

リビングは、床の杉無垢材が主役です。杉は足触りがやわらかく、冬場の冷たさも感じにくい樹種なので、素足で過ごす時間が長いご家庭ほど相性が良い素材です(その一方で柔らかい分、生活キズは“味”として付きやすいのも特徴)。さらに、玄関とリビングの間に格子の目隠しを入れて、視線はやわらかく遮りながら、光と気配は通す――空間を分けすぎない上手な“間”のつくり方だと思います。

吹抜け空間は、この家のハイライトです。階段から2階へ視線が抜け、木製手摺が空間の輪郭をやさしく整えています。吹抜けは上下階の温度差が出やすい印象を持たれがちですが、ベスト・プランニングの住宅性能を生かし、「空調計画(床下エアコンなど)」「空気の動き」「断熱・気密の前提」をセットで設計して、快適性をつくっていきます。開放感と性能を両立させるのが、私たちの腕の見せどころです。

2階側から見る吹抜けも、とても雰囲気が良いですね。天井の羽目板が光をやわらかく受け、木製手摺の縦ラインが空間をすっきり見せています。ここに照明付シーリングファンを組み合わせることで、暖気が溜まりやすい上部の空気をゆっくり循環させやすくなります。“強く回して風を当てる”というより、“空気を混ぜる”イメージで計画するのがポイントです。

吹抜けに面した居室は、アクセントクロスで空間の性格をはっきり出しています。木の天井と柄クロスが部屋と吹抜けの境となっています。ここまで開放的な部屋はかなり珍しいですね。さらに窓際に設けたキャットウォークは、窓のメンテナンスとしての機能と日向ぼっこのための機能を備えたお施主様こだわりの場所です。

造作のカウンターデスクは、趣味スペースとして使い勝手がよく作りました。コンセント位置にも工夫が見られますね。壁付けで配線を整理しやすく、棚の可動性もあるので、暮らしの変化に合わせて“育つ”コーナーになります。

寝室は、床の杉無垢材と天井の木質面が落ち着きをつくっています。木は視覚的にも心理的にもリラックス効果があり、寝室に取り入れると“眠りの質”が上がったと感じる方も多いです。意匠としての木だけでなく、調湿という意味でも、無垢材の良さが活きる場所ですね。

洗面脱衣室は、アクセントクロスで清潔感とデザイン性を両立しています。水まわりは「汚れやすい=暗くしたくない」場所でもあるので、面積の大きい壁は明るく、アクセントで遊ぶ配分がちょうど良いと感じます。三面鏡収納で生活感を隠しやすく、脱衣室としての使いやすさも素直に整っています。

2022.09.03 撮影
最後に外観は、玄関ポーチの大きなR(アール)壁が象徴的です。直線の多い住宅の中で、R形状はそれだけで“やわらかさ”と“迎え入れる雰囲気”をつくれます。内部施工の部分で見ていた下地がこのように完成しました。窓の一部にはガラスの間に格子デザインが入ったタイプも採用され、外観の表情づくりと、室内側のプライバシーの取り方に一役買っています。

以上で海老名市H様邸のレポートを終えたいと思います。
なお、H様邸の気密測定結果は C = 0.2㎠/㎡でした。
H様は当初は実家の建て替えを検討され、私とその検討を行っておりました。
しかし最終的にご自身で土地を確保され、必要十分な土地に、思いを込めた住宅を計画されました。ご実家からも近く、理想の住まいをご自身で実現された住宅になったのではないかと思います。計画中及び施工中はご夫婦共にいつも丁寧に接して頂き、本当に有難く思っています。
これからも暖かい家で幸せに暮らして頂けることを祈って、本レポートを終えたいと思います。
最後までご覧頂き大変ありがとうございました。