ベスト・プランニングの衛藤です。
すっかり年末になってしまいました。
今年も多くのお客様に建築を頂き、大変ありがとうございました。
今年はコロナ禍明けで建築が集中したことで、お施主様にご迷惑をおかけしたことも多々あり、多くの課題が見つかった年となりました。
来年は悪い点を修正していきながら、高性能な住宅を少しでも多くのお客様にお届けできるように頑張っていきたいと考えております。
さて、今回は海老名市O様邸のレポートを開始したいと思います。
O様邸はOBのお客様のお母様のご自宅の建て替えのために計画されました。
コンパクトで使いやすい間取りをご要望とのことでしたので、そのような観点でレポートを見て頂けたらと思います。

2020/7/29 撮影
今回も基礎の現場の撮影ができませんでしたので、上棟からです。
当日は朝から大工さんが7名集合し、8時前から作業が開始されました。
建築の規模があまり大きくないこともあり、3.5寸の構造材を選択頂きました。
弊社のおすすめは4寸の構造材ですが、ご予算や構造規模、使い方などで3.5寸もご提案しております。
耐震等級はもちろん耐震等級3(相当)を確保しています。
まず柱を立て、その後比較的大きな梁を設置した後、小梁を入れていきます。
写真では梁が入った後、梁と梁を締結する金具を設置している様子を撮影しています。
1階では梁のゆがみを直しているいて、ゆがみが直ったら設置した金具を締めて固定していきます。

こちらが建物のゆがみを直している様子です。「さげふり」という器具を使って鉛直を確認し、鉛直が取れていない場合は「屋起こし」という器具で突っ張って補正します。
金物締結前の梁と柱は「ほぞ」という穴を使って結合されていて、この結合だけでは特に回転を締結することが出来ないので、僅かに柱が倒れていても一応つながっている状態です。
これを修正する作業が屋起こし作業です。

2階の床合板は28mmの厚い合板を使用します。
弊社で厚い合板を使用する理由は、耐震性を高めることができるからです。
地震荷重は水平方向は壁面を伝わるせん断荷重として地面まで伝わります。
この水平方向の慣性力(質量×重力加速度)がかかるのは重心で、この構造自体は剛心を中心に回転します。
従って、剛心と重心がずれる場合は回転(ねじり)荷重が発生します。
これに耐えて、外壁に適切に荷重を流すために厚い合板が必要になります。
もちろん、床剛性が上がるため、下階への振動や音も抑えられますね。

柱は基礎から出ているアンカーボルト、または土台と締結される金具によって固定されます。
柱は主に軸力(引張や圧縮)を伝えます。
圧縮は木と木の押し合いで伝わり、引張はこれらの金具を使って伝達します。

1階が終わると2階も同様に作っていきます。
1階と異なることは材料が当日搬入することです。
一度材料の束をクレーン車で吊って、床面に下した後材料を配り、柱や梁を手やクレーン車を使って1点ずつ設置ししていきます。

次の写真は下屋部分の金物設置の様子です。
写真の大工さんが設置している金具は、火打石と梁を締結する金物になります。
上から見た場合の梁を四角の枠と考えると、この四角に横方向の荷重(水平荷重)がかかると、この長方形が斜めに崩れる方向(角が90°でない平行四辺形)に変形する場合があります。
これを保持するためには各頂点の結合を強くすることがまず考えられますが、断面欠損を極力小さくしながら結合を固くするためには特殊な金物に頼る必要があります。
日本の伝統的な工法では、火打梁というつっかえ棒を角に入れることで、この変形に耐える設計がなされてきました。
簡素な構造で軸力として支えることができることから、非常にリーズナブルな設計方法といえます。

小屋組みについて組み立てがはじまりました。
小屋組みは屋根を受ける構造物です。屋根から入った荷重はまず野地板で受けます。
面で受けた荷重は細かく入れている垂木に伝わり、その後母屋という梁のような部材を伝わって、小屋束という柱のような部材に伝わり、2階より下の構造に伝えられていきます。
写真では小屋束を立てていく様子を撮影しました。
小屋組みは基本的にかすがいと釘で組み上げられ、重要な部分は法令で定められたスクリューで止めていきます。

次は母屋です。小屋束の上にのせる部材で、屋根の棟方向に通った部材です。
途中は梁と同じように仕口でつながっています。

小屋束と母屋を設置したら、この状態では結合が緩く鉛直が正しく出ていないことがあります。
そこでゆがみを確認し、雲筋交いという筋交いで固定をしていきます。
写真では大工さんが雲筋交いと小屋束を釘で止めている様子が写っています。

次は棟木です。棟木は屋根の頂点に設ける母屋と同じ方向の部材です。
棟木がまっすぐにのびている様子を撮影してみました。
母屋に加工してある溝は垂木が通る溝です。両サイドからきていることが分かりますね。

次は垂木です。
弊社では垂木も真っすぐに加工された栂材を使っています。
写真をで撮影すると、整然と並んでいる様子が分かります。
すぐ野地板がかかってしまうので、この景色を見れるのは一瞬です。

次は破風の下地施工です。
破風は屋根の端部を保護する役割を持っています。
まず写真の様に下地の木材を打ち付け、最終的には破風材を表面に施工することになります。
破風下地材は大工さんによって丁寧に加工され取り付けられていきますので、室内側で加工する人、外部で取り付ける人に役割分担をして進めます。

こちらは先行して貼ってしまう耐力面材を写しています。
弊社では標準仕様は2階がハイベストウッド若しくはタイガーEXを使っております。
1階と比べて地震荷重が小さいことから、モイスではなくこちらの部材を使うことを推奨しております。
写真では下屋を掛ける都合上、先に耐力面材を設置しました。

最後に屋根に野地板を貼って終了となります。
野地板は2階から手で1枚1枚上げていきます。数百本の釘を、エアツールを用いて釘打ちされていきます。

最後に上棟式について撮影しました。
お施主様と住まわれるお母様、皆さんでお祝いを致しました。
上棟式はお塩とお酒を捲いて清める四方固めを行い、その後、お施主様から一言頂き、大工さんが1本締めで絞めておしまいとなります。
(上棟式を実施頂く方は全体の半分くらいです)

それでは以上でO様邸の上棟のレポートを終えたいと思います。
次回は内部施工1回目のレポートをお届けいたします。