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横浜市S様邸 小屋裏エアコンシステム(計画)

ベスト・プランニングの衛藤です。

昨年実施した横浜市S様邸の小屋裏エアコンシステムについて、ブログでご報告していきたいと思います。

弊社では6年ほど前から床下エアコンシステムを導入して皆様にご好評を頂いております。

弊社の断熱性と高い気密性を利用し、エアコン1台で家全体が暖まる画期的なシステムです。

導入されたお客様は冬場一日中概ね20℃以上の温度に保たれ、非常に快適な暮らし送って頂いております。

光熱費が抑えられることはもちろん、初期コストもエアコンの各室設置と同等ですので、新築の80%以上の方々に導入頂いているオプションなります。

一方、夏の冷房については対流が起きにくいことから、サーキュレーターを使用して冷気をかき混ぜて使用を頂いています。

このような各ご家庭にお任せしている状況に対して、少しでも安価な導入費用で高い効果を発揮できるシステムを開発中です。

巷では全館空調システムが流行っていますが、初期導入費用が思いの他高い(安くても100万円は超える)ことや、夏と冬の空気の流路を同一としているものが多数あること、ランニングコスト、メンテナンスコストが高いことが弱点として挙げられています。

そこで弊社では、4年前から試験的に夏用のエアコンとして「小屋裏エアコンシステム」の研究を進めて参りました。

今回実施させて頂いたS様邸は、建築規模が65坪程度と非常に大きく、流石に1台で全部を冷やすことは難しいですが、1階のエアコンと1台と、小屋裏のエアコン1台(14畳用+14畳用エアコン)で130畳を冷やし切ってしまおうと計画しました。

昨年計画、施工を実施し、評価を行いました。今回はその計画についてお示し致します。

~計画のポイント~

1.小屋裏に空調室を設け、貯気槽としての役割を持たせる。

2.2階への給気は機械的に一方向の気体の流れとし、小屋裏部分の気圧減少により自動的に2階より吸い上げる方式とする。

3.空調室は温度変化、湿度変化に厳しいことが想定され、結露発生に十分留意する。

4.使用する機械系統は、冷却能力と騒音に配慮した機器の選定及び配置を行う。

企業秘密的な細かい配慮もありますから、詳細は直接お尋ね頂きたいですが、ざっくり上記のような感じです。

2階約30坪部分は満遍なく冷却できるように、冷気を配る給気ダクトを各居室に設けました。

プライバシー保護の観点から詳しい情報を省いた2階の図を下記にお示しします。

2階概要図(赤丸が給気ダクト位置)

弊社がこのような取り組みを始めて数年後、建材メーカーさんでも類似のシステムが販売されましたが、家自体がある程度の性能でも使用に耐えうる様に汎用性がある分、コストが2~3倍程度になっています。

弊社の高性能な家づくりの特徴を生かし、適切で安価なシステムとするためにはどのようにすべきか、技術的なポイントは下記の様になりました。

~技術的ポイント~

1.冷房の冷却能力は適切か

2.冷気と暖気の空気循環は適切か

3.使用上の問題は発生しないか

4.施工性・コストパフォーマンスは悪くないか

これらの確認にために、下記の検討を行いました。

1.日射取得と熱貫流による住宅へのエネルギー負荷と冷却能力によるエアコンの選定

2-1.機械給気におけるダクトの圧力損失を実験により確認し、適切な給気機器を選定

2-2.(熱流体)数値解析シミュレーションによる冷気と暖気の適切な循環の確認と各機器設置位置の決定

3.貯気槽結露の可能性排除のための施策と騒音性検討及び実験による確認

4.小屋裏システムの施工方法・建材入手性検討と費用対効果の検討

詳細な技術検討すべてはこちらでは公開致しませんので、ご興味がある場合は是非ご来店頂けたらと思います。

今回は1について簡単にお話ししたいと思います。

冷房の冷却能力は日射取得と熱貫流(断熱材を通ってやってくる熱)により外部から与えられるエネルギーと冷房の冷却能力の大小関係により冷却が可能か決まります。

日射取得エネルギーは単位日射強度当たりの日射取得量の計算方法が法令によって示されていますので、こちらに夏場の最も日射の強い時期の日射強度を与え、日射エネルギーを計算します。

熱貫流によるエネルギーは熱貫流率(本S様邸仕様ではUa=0.34になります)と内外の気温差から、外部から与えられるエネルギー量を計算します。

結果として、S様邸2階及び小屋裏の30余坪を冷却するために十分なエアコンは14畳タイプ(冷房4.0kW)であることが分かりました。

エアコンの選定は年間で最も厳しい瞬間のピーク時の熱量を冷却するか、ピーク日の一日当たり熱量を冷却するかちょっと悩むところですが、前者はオーバースペックとなると判断し、後者で選定しています。

今回のブログはここまでとし、次回、空気循環が適切に行えるかの検討についてお示ししたいと思います。

OBの方々をはじめ、多くの方にHPをご覧いただき大変ありがとうございます。

次回も皆さまが興味を持っている部分について、技術的な観点でお示ししていきたいと思います。

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